Q&A

Q&A

Q. UPCシステムは引き続き使用できますか?
A. UPC制度に関する2020年2月27日の英国政府の声明、および2020年3月20日のUPC制度に対する憲法違反訴訟に関するドイツ連邦憲法裁判所(Bundesverfassungsgericht、略称BVerfG)の決定内容が公表された今、制度の今後は不確かです。

英国政府は、 「英国は今後UP/UP制度への参加を追求しない。   EU法を適用し、CJEUによって拘束される裁判所に参加することは、独立した自治国家になるという私たちの目標と矛盾している。」と声明を発表しています。英国の参加がなければ、これは非常に異なるプロジェクトとなり、英国のいない単一特許およびUPC制度に対し、政治的および業界の欲求があるかどうかは不明です。  続行する意志がある場合は、いくつかの変更を行う必要があります。  1つの例は、ロンドンに置くはずだったUPC中央部の部門を他に移動させる必要があることです。  BVerfGの判決は、ドイツがUPC協定を批准することを可能にする法律が、連邦議会の3分の2の賛成により採決されなかったため無効であるというものでした。  これは、UPCを進めることが決定した場合、必要な賛成数をもって連邦参議院と連邦議会の両方で立法が採決されなければならないことを意味します。 

Q. UPCが続行する場合、いつから開始される可能性がありますか?
A.参加する加盟国が英国なしで制度を進めることを決定した場合、現実的な予測は、2021年後半または2022年初めの裁判所開設です。  ただしこのタイミングはいくつかの要因に依存しています。  これには、続行についてだけでなく、中央部のロンドン区の新しい場所の決定にかかる時間も含まれます。これらの意向は単純なものではなく、制度の他の変更可能性について議論のきっかけとなる可能性もあります(例えば英国のコモン・ローが手続規則に影響するなど)。  UPC協定はそれに応じて(おそらく議定書によって)修正の必要があり、修正された協定または議定書に同意するために各国で必要なさまざまな手順が(さまざまな期間で)行われることになります。  その後、修正されたUPC協定へのドイツの批准を可能にする法律がドイツ議会を通過する必要があります。  2021年半ばまでにそれが達成されない場合、その年の後半にドイツ連邦選挙が行われるため、さらに遅れが生じます。

裁判所が開く前に、UPC制度の開始に向けた最終的な準備が行われる6~8か月間の仮適用フェーズ(PAP)があります。  また、裁判所が開く約3か月前には「日の出期間」があり、「オプトアウト」が登録されます。以下を参照してください。  PAPは、ドイツの批准を可能にする法律が議会で可決され、さらに他の国がPAPの開始に同意した後に開始することができます(数カ国は同意、ほぼ同意の姿勢を見せています)。  PAP期間の終了3か月前に、ドイツはUPC協定の批准書を寄託し、協定が開始され、PAP終了直後に裁判所が開かれるようにします。

新型コロナウイルスによるパンデミックが続く間は、進捗はいずれにしても遅くなります。また、今回のBVerfG訴訟を提訴した申立人は、さらなる憲法違反訴訟を提出する可能性を示唆したことが報告されています。  次の提訴理由ははっきりしていませんが、提訴が却下されたとしても、これはさらなる遅延を引き起こす可能性があります。 

Q. なぜ今すぐに、新制度を理解する必要があるのでしょうか?裁判所の業務がもうすぐ始まる時期まで待つことはできないのでしょうか?
A. 今すぐに新しい制度を理解すべき理由がいくつもあります。

  • 新制度は全ての既存の欧州特許に影響し、これらは自動的にUPCの専属管轄に服することとなりますが、適用除外(オプトアウト)ができる複雑な移行措置の対象になります。既存の欧州特許につき適用除外することによるすべての影響を検討するには時間が必要であり、その際には、適用除外をするのであれば、後述のとおり、UPCが開始する前に行うのが最善であり、かなりのデューデリジェンス作業が必要となりうることを念頭に置いておくべきです。
  • また、ライセンスを受けている特許についても検討する必要があり、それらの特許について適用除外する可能性について権利者と協議する必要があります。
  • 新たにライセンス契約や合弁契約をドラフトする場合には、UPC制度を考慮する必要があります。
  • 競合先や特許不実施団体(NPE)にとっては、おそらくUPCはEUの国内裁判所よりもずっと魅力的なものとなると思われますので、これらの者から新しい裁判所で訴えられる可能性(それは重大なものとなります)について認識しておく必要があります。
  • 新制度は、単に新しい裁判所を創設するだけではなく、特許権者がEUの大部分をカバーする一つの単一効特許を出願することができるものです。現在出願中の特許(2007年3月以前のものを除く)で制度開始後に付与されるものは、単一効の恩恵を受けることができる余地がありますが、将来の特許出願戦略を決定する上では、予算や訴訟といったファクターも考慮しなければなりません。
  • また、EPOでの異議申し立ての戦略を再考したいと考えるかもしれません。UPCは全てのEPC加盟国をカバーするものではありませんが、UPCでの中央一括での取消訴訟は、競合先の特許を攻撃するための代替的ないしは追加的な手段となるかもしれません。
  • さらには、R&Dや製造拠点をどこに置くかといった長期的な投資決定を行うに際して、より広域に効力が及ぶ差止命令を得ることが可能かどうかが影響すると考えるかもしれません。

Q. 自社の特許を新制度から適用除外(オプトアウト)したい場合には、どのようにすればいいのでしょうか?
A. 上述のとおり、既存の欧州特許及び公開された出願(これも適用除外することができます)をUPCから適用除外するかどうかについては慎重な考慮をすべきです。適用除外すると決定した場合には、裁判所の開始の3~6か月前に始まると予想される、いわゆる「サンライズ期間」に行うことが可能であり、そうすることをお勧めします。申請は、特許毎にされますが(特許権者毎ではありません)、電子的に行われ、一括で適用除外をすることもできます。手数料はかかりません。適用除外には、当該特許のすべての権利者(UPC協定に署名した国における欧州特許のすべての国内部分についての権利者(異なる場合)も含みます。)が関与しなければならないことに留意が必要です。誰が適用除外を申請しなければならないかを決めるのは、(EPOや国内の)登録簿にどう記載されているかではなく、「真の」権利者かどうかとなります。大きなパテントポートフォリオを有する場合、正しい権利者の確認には、内部的にかなりのデューデリジェンス作業が生じ得ます。Bristowsはオプトアウト手続きにつき指針を与えるとともに、オプトアウト戦略自体についても助言を行うことができます。
 
Q.   新たに付与される特許の単一保護を選択するかどうかを決定する際に、私が考慮すべき要素はどのようなものですか?
A.ほとんどの特許権者にとって主な考慮事項は予算です。  単一の特許は、付与日までにUPCに批准したすべての国でカバーされますが、国の数は16~20カ国におよぶ可能性があります。単一特許には検証費用がなく、翻訳は1つのみが必要となります。  ただし、更新(メンテナンス)料が発生します。検証する国が4つ未満であれば、単一特許が地理的に広くカバーされているといっても、通常そうであるように予算が決定的要素であるため、単一の特許が魅力的である可能性は低いです。

予算の面で単一特許が魅力的なものである場合にも、考慮すべき別の問題があります。それは単一特許に適用される訴訟制度です。  これらはUPCで訴訟を行うことが義務付けられ、オプトアウトすることはできません。  これには長所と短所があります。  長所は、1つの訴訟で中央的な法執行という大きな利点だけでなく、これらの特許には(UPCと国の両管轄で)経過期間がないことです。  マイナス面としては、UPCの発足時に問題が発生する可能性があるということです。これは、施行が期待どおりに簡単ではない可能性があることを意味します。そしてもちろん、中央的な執行の裏には、UPC中央部で開始された積極的な訴訟によるものを含めて中央的な取り消しがあるということです。

Q. 常に自国で訴えられることになるのでしょうか?
A. いいえ。規則は、被告の所在地 及び 侵害行為の場所を考慮して訴訟を起こすことができると定めています。グループ会社の場合、被疑侵害行為について多くの異なる子会社が関与することが多く、侵害が広範囲に広がることがあります。UPCの第一審の組織は複雑で複数の部門があり、大半の訴訟では提起されうる裁判地となり得る場所は10数か所に上る可能性があり、その選択は特許権者に委ねられています。したがって、UPCのどの部門でも訴えられる可能性がありますが、どの部門が利用されたとしても、その決定は同様にヨーロッパ全土に及ぶ効果を有します。

Q.   訴えられた場合、訴訟手続は自国の言語で行われることになるのでしょうか。
A.その場合もありますが、常にそうとは限りません。通常は、地方部または地域部の現地の言語、そして中央部の事件の場合は特許の言語で訴訟手続が行われることになっています。ほとんどの(おそらくすべての)部門では英語を選択することができ、特に各UPCの裁判体は異なる国籍の裁判官により構成され、これらの裁判官の共通言語は英語である可能性が高いことから、実務上の理由により主に英語が使用されると考えられます。

Q.   私は特許のライセンシーですが、 UPC で訴訟を起こすことはできますか?それとも特許を自ら保有していなければならないのでしょうか?
A. ライセンスで認められているのであれば、UPCで訴えることができます。ライセンスが非独占の場合であっても可能です。その後、特許権者は、訴訟手続に参加するかどうかを選択することができます。

Q.  UPC はフランス流の証拠保全を認めており、執行官が事前の通知なく訪ねて来て製品サンプルを要求すると聞いたのですが、本当ですか?
A.はい。原告は、UPCの管轄内ならどこでも証拠保全を行い、その後に訴訟を起こすかどうか決めることができます。好戦的な競合先がいる場合には、この可能性を認識する必要があります。

Q  UPC は事前の通知なしでも仮差止を命じることができると理解していますが、合っていますか?それを防ぐために何かできるのでしょうか?
A. UPCが仮差止を命じる広い権限を有しているというのは正しいです。事前通知をしない仮差止の申立ては稀であると思われますが、「保護レター(Protective Letter)」を(現在ドイツで可能なように)ルクセンブルグにあるUPC登録局に提出することにより、そのような事態を未然に防ぐことを試みることができます。この手続により、実際上、差止めの申立てがされた場合には、裁判所から通知がされるように要求することができます。したがって、これはUPCの開始前に検討すべき事項の一つです。
 
Q.  UPC の導入により現在行われている EPO での異議手続は影響を受けるのでしょうか?
A. いいえ。二つの管轄は併存して補完し合うものであり、UPCの開始は既存の、または将来開始される異議手続に影響しません。しかしながら、最終的にはUPCが最も重要な地域を指定した特許を取り消すことができ、EPOでの異議のような付与後9か月の期間制限の対象とならないことから、長期的にはEPOでの異議手続はそれほど頻繁には行われなくなると予想されます。
 

Contact Us
Message here
Exit Preview