Q&A

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Q. UPC 制度の開始はいつ頃になりそうでしょうか?
A. 最も楽観的な予想では、裁判所が2019年前半に業務を開始するというものです。裁判所が業務を開始する前に、後述するとおり「オプトアウト」の登録が可能となる「サンライズ期間」がおよそ3カ月間設けられます。しかしこのスケジュールは、ドイツの連邦憲法裁判所(独憲法裁)が、UPC法案に対して申し立てられた憲法上の異議に関し、いつ正式な中間判決を出すのか、またどのような決定を下すのかにかかっています。

この憲法上の異議申立ては、2018年に独憲法裁が決定を予定する事件リストに含まれています。異議申立てが棄却されれば、ドイツはUPC協定を批准し、その暫定的な適用に同意することができます。暫定適用期間(PAP)を開始するためには、ドイツ以外にあともう一カ国の同意が求められるのみですが、複数の国でその準備ができている、あるいはもうすぐできると見受けられます。裁判官の採用など、UPC制度を開始するための最終準備を完了する期間であるPAPは、6〜8カ月と予想されます。 PAPが終了する3カ月前に、ドイツは、UPC協定の批准文書を預託し、PAP終了後速やかに協定を開始して裁判所が業務を開始できるようにします。

ブレグジットがスケジュールに与えると考えられる影響としては、2019年3月29日までにUPC協定が部分的に開始される(すなわちPAPが始まっている)場合は、既に協定を批准しているイギリスは当初参加国となり、ブレグジット後に協定を発効させる上で協定に変更を加える必要はありません。ブレグジットより前にPAPが開始されない場合は、ブレグジットの移行期間が(予定通り)2020年12月31日までであるという前提に立てば、その期間中に参加国としてのイギリスについて制度を開始できると考えることも可能です。 (2018年7月12日に発表された白書の中で、イギリス政府は、ブレグジット後もUPC制度にとどまる選択肢を追求する意向を確認しています。)


Q. なぜ今すぐに、新制度を理解する必要があるのでしょうか?裁判所の業務がもうすぐ始まる時期まで待つことはできないのでしょうか?
A. 今すぐに新しい制度を理解すべき理由がいくつもあります。

  • 新制度は全ての既存の欧州特許に影響し、これらは自動的にUPCの専属管轄に服することとなりますが、適用除外(オプトアウト)ができる複雑な移行措置の対象になります。既存の欧州特許につき適用除外することによるすべての影響を検討するには時間が必要であり、その際には、適用除外をするのであれば、後述のとおり、UPCが開始する前に行うのが最善であり、かなりのデューデリジェンス作業が必要となりうることを念頭に置いておくべきです。
  • また、ライセンスを受けている特許についても検討する必要があり、それらの特許について適用除外する可能性について権利者と協議する必要があります。
  • 新たにライセンス契約や合弁契約をドラフトする場合には、UPC制度を考慮する必要があります。
  • 競合先や特許不実施団体(NPE)にとっては、おそらくUPCはEUの国内裁判所よりもずっと魅力的なものとなると思われますので、これらの者から新しい裁判所で訴えられる可能性(それは重大なものとなります)について認識しておく必要があります。
  • 新制度は、単に新しい裁判所を創設するだけではなく、特許権者がEUの大部分をカバーする一つの単一効特許を出願することができるものです。現在出願中の特許(2007年3月以前のものを除く)で制度開始後に付与されるものは、単一効の恩恵を受けることができる余地がありますが、将来の特許出願戦略を決定する上では、予算や訴訟といったファクターも考慮しなければなりません。
  • また、EPOでの異議申し立ての戦略を再考したいと考えるかもしれません。UPCは全てのEPC加盟国をカバーするものではありませんが、UPCでの中央一括での取消訴訟は、競合先の特許を攻撃するための代替的ないしは追加的な手段となるかもしれません。
  • さらには、R&Dや製造拠点をどこに置くかといった長期的な投資決定を行うに際して、より広域に効力が及ぶ差止命令を得ることが可能かどうかが影響すると考えるかもしれません。

 
Q. 自社の特許を新制度から適用除外(オプトアウト)したい場合には、どのようにすればいいのでしょうか?
A. 上述のとおり、既存の欧州特許及び公開された出願(これも適用除外することができます)をUPCから適用除外するかどうかについては慎重な考慮をすべきです。適用除外すると決定した場合には、裁判所の開始の3~6か月前に始まると予想される、いわゆる「サンライズ期間」に行うことが可能であり、そうすることをお勧めします。申請は、特許毎にされますが(特許権者毎ではありません)、電子的に行われ、一括で適用除外をすることもできます。手数料はかかりません。適用除外には、当該特許のすべての権利者(UPC協定に署名した国における欧州特許のすべての国内部分についての権利者(異なる場合)も含みます。)が関与しなければならないことに留意が必要です。誰が適用除外を申請しなければならないかを決めるのは、(EPOや国内の)登録簿にどう記載されているかではなく、「真の」権利者かどうかとなります。大きなパテントポートフォリオを有する場合、正しい権利者の確認には、内部的にかなりのデューデリジェンス作業が生じ得ます。Bristowsはオプトアウト手続きにつき指針を与えるとともに、オプトアウト戦略自体についても助言を行うことができます。

 
Q.   新しく付与された特許について単一効の保護を選択するかどうかを決めるに当たり、そのような要素を考慮すべきでしょうか。
A. 多くの特許権者にとって、最も検討すべきことは予算の問題です。単一特許についてバリデーション手数料はなく、翻訳は一つだけ要求され、更新料(維持費)は、ドイツ、フランス、イギリス及びオランダの国内費用と同等となります。そして、単一特許がカバーするのは、特許の付与日までにUPC協定を批准したすべての国となります。それは少なくとも17か国で、おそらく19ないし20カ国に増えるであろうことが分かっています。したがって、多くの国でバリデーションを行うのであれば、費用の節約になりますが、更新料を削減する方法として単一特許を「刈り込む」(不要な国を除外する)ことができないことの長期的な影響を考慮すべきです。特に、4カ国以上でバリデーションは行うものの、特許期間の後半には4カ国以下に削減している特許権者は、どのようにするか慎重に検討する必要があるでしょう。スイスのような非EU加盟国であるか、スペインのような参加していないEU加盟国であるかにかかわらず、UPC制度に加わっていない国については、なお別途バリデーションを行うことが可能です。しかしながら、UPCに参加している国については、単一効のバリデーションと各国ごとのバリデーションの両方を行うことはできません。バリデーションを行う国が4カ国より少ない場合、通常は予算が決定的なファクターとなることから、単一効特許が地域的にカバーする範囲が広いとは言っても、あえて単一効特許を取得しようとは思わないでしょう。

予算的に単一効特許が魅力的な場合、その他2つの考慮すべき事項があります。 

·         第一に、単一特許制度にイギリスが長期的に参加するかどうかが現在のところはっきりしないという問題があります。仮にイギリスが制度から離脱する場合、おそらく、イギリスの領域に関しては、単一効特許は移行措置により欧州特許(英国)に転換されることになるでしょう。その場合、その後欧州特許(英国)の維持には、更新料が必要となり、単一特許の費用の減額はないものと予想されます。

·         第二に、単一特許に適用される訴訟制度の問題があります。これらはUPCで訴訟をする限り必須であり、適用除外はできません。これには、有利な点と不都合な点があります。有利な点としては、主なメリットである一つの訴訟で一度に権利行使が可能であるというだけではなく、単一特許の場合、(UPCと国内裁判所の両方の管轄に服することとなる)移行期間がないということがあります。不都合な点としては、権利行使が期待されていた程には簡単ではないというUPCの発足当初の問題が生じる可能性があり、また当然ながら、中央一括での権利行使の裏返しとして、UPC中央部で開始される積極的な訴訟を含む、中央一括での取消訴訟があります。


Q. 常に自国で訴えられることになるのでしょうか?
A. いいえ。規則は、被告の所在地 及び 侵害行為の場所を考慮して訴訟を起こすことができると定めています。グループ会社の場合、被疑侵害行為について多くの異なる子会社が関与することが多く、侵害が広範囲に広がることがあります。UPCの第一審の組織は複雑で複数の部門があり、大半の訴訟では提起されうる裁判地となり得る場所は10数か所に上る可能性があり、その選択は特許権者に委ねられています。したがって、UPCのどの部門でも訴えられる可能性がありますが、どの部門が利用されたとしても、その決定は同様にヨーロッパ全土に及ぶ効果を有します。

 
Q.   訴えられた場合、訴訟手続は自国の言語で行われることになるのでしょうか。
A.その場合もありますが、常にそうとは限りません。通常は、地方部または地域部の現地の言語、そして中央部の事件の場合は特許の言語で訴訟手続が行われることになっています。ほとんどの(おそらくすべての)部門では英語を選択することができ、特に各UPCの裁判体は異なる国籍の裁判官により構成され、これらの裁判官の共通言語は英語である可能性が高いことから、実務上の理由により主に英語が使用されると考えられます。

 
Q.   私は特許のライセンシーですが、 UPC で訴訟を起こすことはできますか?それとも特許を自ら保有していなければならないのでしょうか?
A. ライセンスで認められているのであれば、UPCで訴えることができます。ライセンスが非独占の場合であっても可能です。その後、特許権者は、訴訟手続に参加するかどうかを選択することができます。

 
Q.  UPC はフランス流の証拠保全を認めており、執行官が事前の通知なく訪ねて来て製品サンプルを要求すると聞いたのですが、本当ですか?
A.はい。原告は、UPCの管轄内ならどこでも証拠保全を行い、その後に訴訟を起こすかどうか決めることができます。好戦的な競合先がいる場合には、この可能性を認識する必要があります。

 
Q  UPC は事前の通知なしでも仮差止を命じることができると理解していますが、合っていますか?それを防ぐために何かできるのでしょうか?
A. UPCが仮差止を命じる広い権限を有しているというのは正しいです。事前通知をしない仮差止の申立ては稀であると思われますが、「保護レター(Protective Letter)」を(現在ドイツで可能なように)ルクセンブルグにあるUPC登録局に提出することにより、そのような事態を未然に防ぐことを試みることができます。この手続により、実際上、差止めの申立てがされた場合には、裁判所から通知がされるように要求することができます。したがって、これはUPCの開始前に検討すべき事項の一つです。
 
Q.  UPC の導入により現在行われている EPO での異議手続は影響を受けるのでしょうか?
A. いいえ。二つの管轄は併存して補完し合うものであり、UPCの開始は既存の、または将来開始される異議手続に影響しません。しかしながら、最終的にはUPCが最も重要な地域を指定した特許を取り消すことができ、EPOでの異議のような付与後9か月の期間制限の対象とならないことから、長期的にはEPOでの異議手続はそれほど頻繁には行われなくなると予想されます。

 
Q.  UPC で訴訟を起こしたい場合、あるいは起こされた場合、関連する部門の所在する地域の弁護士に依頼する必要がありますか?
A.いいえ。Bristowsは、中央部、地方部又は地域部を問わず、いかなる部門の事件でも対応することができます。

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